- 2026年10月20日
- 2026年10月9日
休職から復職までのステップ|復職のタイミングと職場への伝え方

診断書をもらって休職に入り、傷病手当金の手続きも済ませた。少しずつ体調が戻ってくると、今度は別の不安が浮かんできます。「いつ復職すればいいのだろう」「会社にどう伝えればいいのだろう」「また同じことになったらどうしよう」。
休職は、始めるときよりも「戻るとき」のほうが迷いやすいものです。復職のタイミングは、カレンダーではなく、心と体の回復の状態を見ながら決めていくことが大切です。この記事では、休職から復職までの流れ、復職のタイミングの目安、職場への伝え方、復職後の過ごし方を順に整理します。
休職に入るまでの手続きについては、心療内科の診断書はすぐもらえる? 休職までの流れや傷病手当金はいくら?申請方法と支給期間で解説しています。休職全体の概要は当院の休職ページもご覧ください。
休職から復職までの全体像|厚生労働省の「5つのステップ」
厚生労働省は「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」の中で、休業の開始から復職後のフォローアップまでを5つのステップで示しています。会社向けの手引きですが、ご本人が全体像を知っておくと、「今どの段階にいるのか」「次に何をすればよいのか」が見えやすくなります(詳しくは厚生労働省「こころの耳」職場復帰支援のページをご参照ください)。
| ステップ | 内容 | ご本人にとってのポイント |
|---|---|---|
| 第1ステップ:病気休業の開始・休業中のケア | 診断書を提出して休業を開始します。安心して療養に専念する時期です。 | 休職中の会社との連絡は必要最小限に。まずは休養と治療を優先します。 |
| 第2ステップ:主治医による復職可能の判断 | 復職の意思を会社に伝え、主治医が復職可能と判断した診断書を提出します。 | 診断書には、就業上の配慮についての意見も書いてもらいます。 |
| 第3ステップ:復職の可否の判断と復職支援プランの作成 | 会社(産業医・人事・上司など)が情報を集めて可否を検討し、復職日・業務内容・配慮事項を決めたプランを作成します。 | 会社の制度によっては、正式な復職の前に「試し出勤」を行う場合もあります。 |
| 第4ステップ:最終的な復職の決定 | 会社として復職を正式に決定します。 | 産業医の意見書などをもとに、関係者で内容を確認します。 |
| 第5ステップ:復職後のフォローアップ | 復職後も面談などで状況を確認し、必要に応じてプランを見直します。 | 通院や服薬を続けながら、少しずつ元のペースに戻していきます。 |
なお、会社の規模や就業規則によって、産業医の有無や手続きの名称、休職期間の上限などは異なります。ご自身の会社の休職規定は、早めに確認しておくと安心です。
休職中の時期別の過ごし方
休職中の過ごし方は、回復の段階によって少しずつ変わります。以下はあくまで一般的な目安で、実際のペースは病状や休職の原因によって異なります。
前半:休養を最優先にする時期
うつ病などの治療では、まず十分な休養をとることが基本です(うつ病ページ)。この時期に「復職」を考えすぎる必要はありません。眠れる、食事がとれる、といった土台を整えることを優先しましょう。
中盤:生活リズムを整える時期
気力が少しずつ戻ってきたら、起床・就寝の時刻を一定にし、日中に外出や散歩をするなど、一日の活動量を少しずつ増やしていきます。「朝決まった時間に起きて、日中を過ごし、夜に眠る」という流れが安定してくることが、復職準備の第一歩です。適応障害ページにもあるように、ストレスの原因(環境)の整理もこの時期から始められます。
後半:復職を具体的に考える時期
通勤や仕事を想定した練習をしつつ、「なぜ休職に至ったのか」「どんなサインが出ていたのか」「次はどう対処するか」を振り返ります。この振り返りは、復職後の再発予防にそのままつながります。主治医との診察で、一緒に整理していきましょう。
復職のタイミング|目安となる6つのサイン
「気分が上向いてきた」だけで復職を決めてしまうと、仕事の負荷に体がついていかないことがあります。次のような点を、生活面と仕事面の両方から確認してみましょう。
- 睡眠と起床のリズムが整い、朝、決まった時間に起きられる
- 日中、強い眠気やだるさに悩まされず、十分に活動できる
- 通勤にあたる時間帯に外出し、無理なく移動できる
- 読書やパソコン作業など、一定時間の集中を保てる
- 活動した疲れが翌日に持ち越されにくい(数日続けても崩れにくい)
- 「戻りたい」という気持ちがあり、不安なことも主治医や職場に相談できる
これらはあくまで目安であり、すべてが満たされなければ復職できないという意味ではありません。最終的には、病状や仕事内容をふまえて主治医が総合的に判断します。
「主治医のOK」と「職場で働ける状態」は同じとは限りません
厚生労働省の資料でも触れられているとおり、主治医の判断は日常生活での回復の程度をもとにしていることが多く、職場で求められる業務の遂行能力まで回復しているとは限りません。そのため、診察では仕事の内容(業務量・勤務時間・対人対応・出張の有無など)をできるだけ具体的に主治医へ伝えてください。復職の判断がより現実に近いものになります。
期限に追われているときは
休職期間の満了日や、傷病手当金の支給期間が気になって、焦りを感じる方も多いと思います。傷病手当金の支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月です(協会けんぽ「傷病手当金」)。一度復職したあとに同じ病気で再び働けなくなった場合も、残りの期間について支給を受けられる可能性があります。詳しくはご加入の健康保険にご確認ください。
大切なのは、「期限が近いから戻る」ではなく、期限が気になった段階で早めに主治医と会社に相談することです。休職が長引いている場合の制度の組み合わせについては、傷病手当金と障害年金は同時にもらえる?併給調整のルールを解説もご参考ください。傷病手当金の概要は当院の傷病手当金のご案内にもまとめています。
復職前の準備|通勤訓練・試し出勤・リワーク
復職の前に「仕事のリズム」を試しておくと、復職後のギャップを小さくできます。代表的な方法を紹介します。
通勤訓練・模擬出勤
通勤の時間帯に実際に電車やバスに乗ってみる、仕事の時間帯に図書館などで課題や作業に取り組んでみる、といった練習です。ご自宅でできるため、主治医から勧められることも多い方法です。
試し出勤(リハビリ出勤)
正式な復職の前に、短時間だけ出社したり、職場で作業をしたりして、職場の様子を確認する制度です。会社に制度がある場合に利用できます。運用にあたっては、ご本人の希望に基づくこと、主治医が療養上の支障にならないと判断していること、賃金や災害が起きた場合の扱いなどが事前に決められていることが大切です。作業内容が業務にあたる場合には、労働基準法などが適用されることもあるため、会社の人事担当者に取り扱いを確認しておきましょう。
リワークプログラム
リワーク(return to work)は、休職中の方が復職に向けて生活リズムを整え、再発予防のためのセルフケアを身につける支援プログラムです。実施する場所によって、主に次のように分かれます。
- 医療機関のリワーク:精神科デイケアなどの枠組みで行われ、通所しながら生活リズムや集中力を整え、ストレスへの対処を学びます
- 地域障害者職業センターの職業リハビリテーション:職業カウンセラーが、本人・会社・主治医の三者の調整を支援します
- 職場・企業が行うリワーク:職場の中で復職してよいかを見極める取り組みです
受けられる場所や内容は地域や施設によって異なります。どのプログラムが合うかは、休職に至った経緯や回復の段階によっても変わります。医療機関のプログラムは医療保険の枠組みで行われ、自立支援医療制度の対象となる場合もあります。復職準備の進め方として何が向いているかは、診察の中でご相談ください。
職場への伝え方|いつ・誰に・何を伝えるか
まず「復職の意思」を早めに伝える
復職の意思を会社に伝えると、多くの場合、主治医の診断書の提出や面談が必要になります。診断書の準備や面談の日程調整には時間がかかるため、主治医と相談して「復職を考え始めた」段階で、上司または人事担当者に連絡するとスムーズです。復職願や診断書が必要かどうかは、就業規則で確認しておきましょう。
伝える内容は4つに整理する
- 復職したいという意思と、希望する時期
- 主治医の診断(復職が可能であること、必要な就業上の配慮)
- 必要な配慮の具体的な内容(時短勤務、残業・休日出勤の制限、業務量や担当範囲、出張・夜勤の調整、通院日の確保など)
- 通院を続けること、体調が崩れそうなときの連絡方法
配慮は「できないこと」を並べるより、「こうしてもらえると働き続けやすい」という形で、期間を区切って伝えると、会社も対応を検討しやすくなります。
病状をどこまで話すか
診断名や治療の詳細をすべて話す必要はありません。健康に関する情報は特にデリケートな個人情報であり、会社が主治医とやり取りする場合も、原則としてご本人の同意が必要です。伝えるのは、「何ができて、何に配慮が必要か」を中心に考えるとよいでしょう。
伝え方の例(面談の場面)
| 例文「休職中はご迷惑をおかけしました。主治医から、段階的であれば復職が可能という判断をもらいました。最初の1か月は時短勤務で、残業はなしにしていただき、業務量は少しずつ戻していけると助かります。月に2回は通院を続けるため、その日は午前休(または早退)をいただきたいです。体調に変化があれば、早めにご相談します。」 |
診断書に就業上の配慮を記載してもらう場合も、「復職後○か月間は時短勤務、残業の制限が望ましい」のように期間を区切っておくと、会社が運用しやすくなります。診断書については診断書の発行ページをご覧ください。
産業医がいる会社では
産業医のいる会社では、産業医との面談が復職の判断に組み込まれていることが多くあります。主治医の診断書と、職場で必要とされる業務の内容を照らし合わせて判断されるため、不安や気になることは隠さずに話して大丈夫です。面談への心構えは、会社の産業医面談とは?ストレスチェック後に呼ばれたときの心構えでも解説しています。
復職後の過ごし方|最初の数か月を乗り切るコツ
復職はゴールではなく、再発予防の始まりです。復職後しばらくの間は、次の点を意識してみてください。
- 段階的に戻す:時短勤務から始める、残業を制限する、業務量を少しずつ増やすなど、負荷を軽くして段階的に元のペースへ戻していくことが勧められています
- 通院・服薬を続ける:調子が良く感じても、自己判断で通院や服薬をやめないようにしましょう
- 疲れのサインに早く気づく:寝つきが悪い、朝起きるのがつらい、ミスが増えた、食欲が落ちた、楽しめなくなったなどの変化があれば、早めに主治医や上司に相談します
- フォローアップ面談を活用する:復職後に会社が面談の機会を設けてくれる場合は、困っていることを遠慮なく伝えましょう
- 完璧を目指さない:最初の数か月は「慣らし運転」の期間です。休職前と同じ成果を求めすぎないことが、長く働き続けるコツです
復職は元の職場に戻ることが原則とされています。ただし、異動などがきっかけで体調を崩した場合のように、配置転換が望ましいケースもあります。ご自身の希望や不安は、主治医や職場に相談してみてください。
うまくいかないと感じたときは|再休職は「失敗」ではありません
復職後に体調が揺らぐことは、決して珍しいことではありません。無理を重ねて悪化させてしまう前に、早めに主治医へ相談してください。勤務時間や業務内容の調整で乗り切れることもありますし、必要であれば、もう一度しっかり休むという選択もあります。再休職は失敗ではなく、回復のために必要な調整です。
休職が長引いて経済面の不安が大きくなったときは、併給調整のルールを解説した記事も参考にしながら、利用できる制度を整理していきましょう。一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。
復職に関するよくあるご質問
Q. 復職までにどのくらいの期間がかかりますか?
個人差が大きく、一概にはお答えできません。病状、休職に至った原因、職場の環境などによって異なります。期間の長さよりも、生活リズムや集中力など「状態」を見ながら判断していきます。休職期間の上限は会社の就業規則で定められています。
Q. 復職するときにも診断書は必要ですか?
多くの会社で、復職が可能であることを示す主治医の診断書の提出を求められます。必要な書類は会社によって異なるため、人事担当者にご確認ください。
Q. 同じ職場に戻るのがつらいときは?
復職は元の職場が原則ですが、異動などが発症のきっかけになった場合など、配置転換が検討されることもあります。「戻ることが不安」という気持ちも、主治医に率直に伝えてください。
Q. 復職したら通院は終了ですか?
症状が落ち着いても、再発を防ぐために一定期間は通院を続けることが大切です。通院の頻度や終了の時期は、主治医と相談して決めましょう。
越谷Kこころのクリニックのサポート
当院では、休職前・休職中はもちろん、復職後も患者様が再発の心配なく健康的に働き続けられるよう、サポートに力を入れています。
- 復職のタイミングや、職場への伝え方・必要な配慮についてのご相談
- 診察のうえで必要と判断された場合の診断書の発行(即日発行にも対応しています)
- 傷病手当金の手続きに関するサポート
- 復職後も、通院を続けながら再発予防とストレスへの対処を一緒に考えるフォロー
「そろそろ復職を考えたいけれど、まだ自信がない」「会社への伝え方がわからない」という段階でも構いません。まずはご相談ください。初めての方は初診の方へもご覧のうえ、WEB予約をご利用ください。