適応障害とは

適応障害のイメージ写真

適応障害とは、新たな環境に飛び込んだ時、あるいは周囲で大きな環境の変化があった時などに強いストレスを受けることで、抑うつや不安感などの精神症状や行動面に変化が現れ、社会生活や日常生活が困難になるほどの様々な症状をきたす病気のことです。
診断基準では、ストレスの原因となる環境の変化があってから1カ月以内に症状が現れ、症状は最大で6カ月で治まるものとされていますが、ストレスを受ける状態が改善されない場合は、それ以上長期間に渡って続くこともあります。

具体的には、入学・進学や就職・転職、配置転換、結婚、離婚等、大きな環境変化への対応が必要になった時に、それが上手くできず、ストレスによって精神的なダメージを受け、不登校や出社できないなどの様々な問題が引き起こされ、社会生活に支障をきたしてしまうといったことがあります。

適応障害の症状

精神症状

  • 不安になる
  • 抑うつ気分になる
  • イライラする
  • 焦りや不安、恐怖感がある
  • 過敏になる
  • 意欲や思考力・集中力が低下する
  • 攻撃的になる  

身体症状

  • 食欲低下、食欲亢進、暴飲暴食
  • 倦怠感、疲労感
  • 不眠などの睡眠障害
  • 頭痛、頭が重い感じ
  • 腹痛、下痢
  • 動悸、過呼吸、めまい  

行動の異常

  • 遅刻や早退、欠勤をしてしまう
  • 勤務中に症状が強く、仕事に支障をきたす
  • 休日は症状が軽減し、自分らしく過ごせる時もある
  • 過剰な飲酒
  • ギャンブルにハマってしまう

適応障害の原因

適応障害は、外的な要因であるストレスと、内的な要因であるストレスへの適応力や本来の性格等が関係し合って発症します。
それぞれの要素には以下のようなものが挙げられます。

外的要因

外的要因となるストレスは、人によって感じ方が異なりますが、原因として多く見られるのは、職場、学校、家庭等での大きな環境の変化、人間関係の変化、パワハラなどのハラスメントです。
たとえば親しい人との別れや、本人の健康問題、生活の乱れ等も適応障害を引き起こす場合があります。
他者にとっては些細と思われることも、発症につながることがありますので、周囲の理解も必要となってきます。

内的要因

内的要因としては、元来の性格や考え方、周辺の環境が考えられます。
同じようなストレスの負荷がかかっても、適応障害を発症する人もいれば、発症しない人もいます。これはストレスに対しての対処能力や耐性の違いによるものと考えられます。
また、ストレスがかかった時に、周囲に悩みを聞いたりサポートしてくれる人がいたり、ストレスを発散させる場があるなどの、社会的サポート体制の有無も大きく関わってきます。

適応障害の治療法

治療法としては、ストレス因を取り除く、あるいは遠ざけることが大切です。
具体的には職場の人間関係や業務内容等に悩んでいたり、学校にどうしてもなじめなかったりしている場合など、配置転換や一時的な休職、休学など「環境調整」を行うことが有効な場合があります。
一度ゆっくりと立ち止まり、これまでや現在のことをゆっくり見まわして、対策を考えていくことが大切です。
時には当院にて休職や休学をお勧めすることもありますし、傷病手当金などの制度を利用するお手伝いをさせていただくこともあります。

一方、ストレスに対する患者様の適応力を高めることも大切です。
そのひとつが「認知行動療法」です。これは、それぞれのストレスの受け止め方のパターンを認識しそのパターンを変えていくことで、ストレスから受ける影響を抑えていくというものです。

適応障害にも薬物療法はありますが、根本的なものではなく、対症療法としての使用となります。環境調整や、心理療法を通したカウンセリングが治療の基本となります。