自閉症スペクトラム(ASD)とは

自閉症スペクトラム(ASD)のイメージ写真

自閉スペクトラム(ASD)は発達障害のひとつで、これまで自閉症、アスペルガー症候群など、様々な名称で呼ばれていたものを、本質はひとつの障害とらえ、自閉スペクトラムと呼ぶようになりました。
国際的診断基準の診断カテゴリーである広汎性発達障害(PDD)とほぼ同じ群を指しており、従来の自閉症、アスペルガー症候群、さらにそのほかの広汎性発達障害も含まれています。

自閉症スペクトラム(ASD)の特徴

自閉スペクトラム(ASD)の特徴として以下の3つが挙げられます。

  • 場の空気を読んだり、相手の心情をくみ取ったりすることを苦手とする、相互的な対人関係(社会性)の障害
  • 相手の発言をすぐに正しく理解したり、自分の思いや考えをわかりやすく相手に伝えたりすることが難しい、コミュニケーションの障害
  • その場の変化に適応することが難しく、自分の興味やルールに「こだわり」、行動に偏りがでる

自閉症スペクトラム(ASD)の主な症状

  • 一人でいることが多い
  • 人と目を合わせない
  • オウム返し
  • 会話のやりとりができない
  • 指示されたことが理解できない
  • 同じ動きや言葉を繰り返す
  • 興味を持った特定の分野に膨大な知識をもつ など

自閉症スペクトラムをもつお子様に多い症状

  • 人の目を見ることが少ない
  • 他の子に関心がない
  • 自分の興味のあることだけを話す など

自閉症スペクトラム(ASD)の原因

自閉症スペクトラムの原因は、現在正確にはわかっていません。
脳機能の障害によって症状がおこると考えられており、その脳機能障害には、遺伝的要因の関与が指摘されています。関連すると考えられる遺伝子は数多く報告されていますが、いくつかの遺伝子が複雑に関連しあっているため、現時点では原因遺伝子を完全に特定できていません。

さらに自閉症スペクトラム障害は、遺伝的要因に加えて、様々な環境要因も影響していると考えられています。その環境要因もはっきりと特定されているわけではありませんが、妊娠初期の喫煙や出生前の有機リン酸系農薬への曝露、出生前・出生後の偏った栄養、妊娠・出生時の親の高齢、妊娠35週未満の早期出産、低体重出生などが関わっている可能性が考えられています。

また、「親のしつけ方・育て方が悪い」「親の愛情不足」といった心因論は、現在では医学的に否定されています。

自閉症スペクトラム(ASD)の治療

自閉症スペクトラムは、早期の診断が大変重要です。
幼児期に診断された場合では、「療育」によって、コミュニケーションの発達を促し、適応力を伸ばすことによって、対人関係などにおける不安が低減され、学校など集団活動への参加意欲が高めることができます。
また保護者をはじめとした周囲が理解することで、接し方も変わり、成長を見守っていく環境が醸成されます。
自閉症スペクトラムは、こだわりの強さなどが問題となる場合がありますが、これを周囲が理解し、ある程度は「個性」として認識し、社会への適応がスムーズいけるようにしていくことが大切です。障害と認識されることが抑えられるよう、早期に発見し介入して、継続的な療育や支援を行っていくことが重要です。