不安障害とは
不安障害とは、過度な不安が持続し、日常生活に支障をきたす心の疾患です。この病気にはさまざまなタイプがあり、全般性不安障害や社会不安障害、パニック障害などが代表的です。
(パニック障害についてはこちら)
全般性不安障害
全般性不安障害とは、日常の出来事や将来のことについて、コントロールできないほどの過剰な不安や心配が続く状態を指します。この不安はほぼ毎日現れ、長期間にわたって持続します。症状としては、疲れやすさ、イライラ、集中力の低下、筋肉の緊張、不眠などが伴うことがあります。ただし、原因が明確な一時的な不安や緊張(数日程度)は全般性不安障害には該当しません。
また、うつ病やパニック障害、強迫性障害といった他の疾患を併発することもあるため、全般性不安障害が疑われる場合は、速やかに心療内科や精神科の受診をおすすめします。
主な症状
- 明確な理由がない強い不安や心配
- 不安をコントロールできない
- 落ち着きがなく、そわそわする
- 強い緊張感
- 疲れやすい
- 集中力の欠如
- イライラしやすい
- 過敏な反応
- 筋肉のこわばり
- 睡眠障害
治療について
治療には、薬物療法と精神療法があります。まず、抗不安薬や抗うつ薬などを用いた薬物療法で不安を和らげ、その後、認知行動療法により患者自身が不安を制御できるように訓練します。認知行動療法では、思考のゆがみを理解し、それに基づいて行動を修正する技術を学びます。この2つの療法を組み合わせることで、症状が再発しても過度にとらわれないようになります。
社会不安障害
社会不安障害は、人から注目を浴びることや人前での行動に対して強い恐怖や不安を感じる疾患です。恥をかくことへの恐れから過度に緊張し、動悸や手足の震え、吐き気、発汗、息苦しさといった身体的な症状が現れることがあります。このような状態になると、人前に出ることを避けるようになり、日常生活に支障をきたします。
社会不安障害には、特定の状況でのみ不安が生じる限局型と、ほとんどの状況で不安を感じる全般型があり、全般型は発症が早く、重症化しやすいとされています。
主な症状
- 異常に緊張する
- 手足や全身、声が震える
- 顔が赤くなる
- 脈拍が早くなり、息苦しさを感じる
- 大量の汗をかく
- 吐き気が続く
- 口が乾く
- トイレが近くなる、または尿が出なくなる
- めまいがする
原因について
社会不安障害の原因はまだ完全には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質であるセロトニンが不足することが関連していると考えられています。セロトニン不足の背景には、人前で恥をかいた経験、他人の目を気にしすぎる性格、遺伝的要因などが影響しているとされています。また、ドーパミンの不足も不安を引き起こす要因の一つとして考えられています。
治療について
治療は薬物療法と精神療法が効果的です。薬物療法では、主に抗うつ薬であるSSRIを使用し、効果が現れるまでには2~8週間ほどかかります。症状が改善した後も、再発を防ぐためにしばらく薬を継続することが推奨されます。認知行動療法では、不安や恐怖の思考パターンを変え、緊張感を緩和することで回避行動を減らす訓練を行います。薬物療法と精神療法を組み合わせることで、治療効果がより高まるとされています。