パニック障害とは
パニック障害とは、何の前触れもなく激しい動悸や発汗、頻脈、震え、痺れ、息苦しさ、胸部不快感、冷や汗、めまいといった症状が現れ、大声で叫びたくなったり、じっとしていられなくなったり、さらには「このまま死んでしまうのではないか」と思うほどの強い不安感や恐怖感に襲われる、いわゆる「パニック発作」が特徴の病気です。
人はもともと、大災害や命を脅かすような敵に遭遇したときに、パニック発作と同様の身体反応が起こります。こうした反応は災害や敵から逃れるために体に備わったものですが、この発作が、運転、公共交通機関の利用、人混みに入るなど些細なことや普段は何でもないと感じるような時に突然起こってしまいます。
パニック障害の主な症状
パニック発作
パニック障害の代表的な症状で、突然、不安、動悸や息苦しさ、吐き気、めまいなどの症状に襲われます。
予期不安
パニック発作がまた起こるのではないかという不安を持ち続け、さらにその発作が心臓発作など重大な結果に結びついてしまうのではないかという、パニック発作に対する強い不安感・恐怖感を抱くものです。
広場恐怖
広場恐怖では、予期不安によってパニック発作を起こした場所・空間へ足を運べない、留まれないといった状態に陥ります。電車に乗れず出社や登校ができないばかりか、外出そのものが困難になるケースも見られます。
その他の具体的な症状
- 動悸、息苦しさ
- 不安、恐怖感
- 吐き気、嘔吐
- 胃の痛み、腹部の不快感
- 発汗
- めまい、ふらつき
- 頭から血がひいていく感じ
パニック障害の原因
パニック障害の原因は未だはっきりとしていませんが、最近の研究などから、パニック障害には、脳内神経伝達物質(脳内ホルモン)、とくにセロトニンとノルアドレナリンのバランスが崩れることにより発症すると考えられています。
- セロトニン
- ほかの脳内神経伝達物質の情報をコントロールし、精神状態を安定させる働きがあります。
- ノルアドレナリン
- 不安や恐怖感を引き起こし、血圧や心拍数を上げる働きをします。
およそ 100人に3人程度の比率で罹るという、誰にでも発症する可能性がある病気です。
パニック障害の治療
薬物療法
パニック障害の治療では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という薬を服用します。セロトニンの働きが不調になると、不安を感じたり、意欲が低下したりするため、セロトニンの働きを増強することでパニック障害を改善します。この他、抗不安薬を用いることもあります。
認知行動療法
パニック障害では薬物療法により発作を止めるだけでなく、認知行動療法によって、パニック発作の原因を探り、その原因に対する対処法について説明・指導を行います。これによって考え方を変化させ、パニック発作を再発させないことが大変重要です。